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3 つの独立サイトが同週に崩壊した日 — 『プラットフォームのデフォルトは信用ならない』

June 9, 20269 min read

3 つの独立サイトが同週に崩壊した日 — 『プラットフォームのデフォルトは信用ならない』

発端:3 連クラッシュの 1 週間

2026 年 6 月 1 週目。3 日間で 3 つの独立サイトが連続して壊れた。

  • frankbot.org:push したのに CI green ✅、なのにデプロイが反映されない

  • blog.frank2025.com:ノート保存で CF Pages build が YAMLException

  • cv.frank2025.com:PDF upload が 500、Cloudflare Worker から GitHub への PUT が 403
  • 3 つのバグ、3 つの根本原因。振り返ると、3 つに 1 つの共通項があった — すべて「プラットフォームのデフォルト動作が信頼できない」が犯人だった。

    第 1 幕:frankbot.org — GitHub Actions の「幽霊 artifact」

    症状

    6 月 3 日。master に push して CI が green になる。なのに frankbot.org を開くと古いコンテンツのまま。

    CI ログを見直す。typecheck ✅、build ✅、deploy job も ✅ と表示。なのに反映されていない。

    根因

    gh run view --log で deploy job を掘ると、my-blog/out の ENOENT:

    Error: ENOENT: no such file or directory, scandir
    '/home/runner/work/openclaw-blog-new/openclaw-blog-next/my-blog/out'

    なぜ out がないのか。CI workflow は typecheck→build までが 1 job、deploy が別 job。別 job は新しい worktree を checkout するので、build job が my-blog/out に書いたファイルは引き継がれない。

    actions/checkout@v4 のデフォルト動作を当然と思っていた。でも Actions は job 間で worktree を共有しない。artifact upload + download で明示的に橋渡しする必要がある。

    修正

  • build job の末尾に actions/upload-artifact@v4 を追加

  • deploy job の先頭で actions/download-artifact@v4 で取得

  • もう 1 つ壊れていた点:Cloudflare Pages プロジェクトの deployments_enabled: false + production_deployments_enabled: false が GUI から手動でオンにする必要があった

  • permissions: contents: write, deployments: write, pages: write, id-token: write を deploy job に追加(createGitHubDeployment の 403 対策)
  • この幕から学んだこと

    CI デプロイは worktree を信用するな、artifact を契約にしろ。 別 job 間でファイルを受け渡すには upload-artifact + download-artifact を必ずペアで使う。パスが同じだからといって、ファイルがそのままあるとは限らない。

    第 2 幕:blog.frank2025.com — YAML はネスト引用符を許さない

    症状

    同じ頃。frank-blog の admin editor でノートを保存すると、CF Pages の build がこける。

    YAMLException: expected a single document in the stream
    ...
    tags: [""Life"", ""Time"", ""Future""]

    タグが ""Life"" という形で二重引用符で囲まれている。YAML パーサは引用符の中の引用符を理解できない。

    根因

    該当:src/components/admin/PostEditor.tsx:84

    const tags = frontmatter.tags?.length
    ? `\ntags: [${frontmatter.tags.map(t => `"${t}"`).join(', ')}]`
    : ''

    既に各タグを " で囲っている。でも tags 配列に元から " を含んだ値が入っていると(古い save が残したクリーンデータ)、"${t}" で囲うことで二重引用符が生成される。

    つまり「保存のたびに少しずつ腐っていく」系の bug。

    修正

    const tags = frontmatter.tags?.length
    ? `\ntags: [${frontmatter.tags.map(t => `"${t.replace(/"/g, '')}"`).join(', ')}]`
    : ''

    t.replace(/"/g, '') で先に strip、 その後で wrap。 これで古いクリーンデータが残っていても、次回 save で自動修復される。

    この幕から学んだこと

    YAML/JSON のシリアライズは「strip してから wrap」が鉄則。 前に何が入っていたかわからない相手に対して、盲目的に wrap すると毒入りデータができる。

    もう 1 つ:ビルドエラーは「いま直したファイル」だけが犯人とは限らない。 1 ロケール(zh)だけ直して en/ja を放置していたら、build は相変わらず失敗する。すべてのロケールを横断チェックする必要がある。

    第 3 幕:cv.frank2025.com — Cloudflare Worker に「人っぽさ」がない

    症状

    6 月 2 日。Cloudflare Worker 経由で PDF を GitHub リポジトリに PUT する upload-image 関数が 500 を返す。

    Image upload failed: Upload failed (500)

    根因

    切り分け:

  • トークン確認:wrangler secret listGITHUB_TOKEN 存在する ✅

  • PUT 先パス確認:public/.write-test.txt を PUT → 成功 ✅

  • CF Worker 経由 vs Node 直叩き:同じ fetch を Node.js から直接実行 → 成功 ✅

  • CF Worker 経由のみ失敗 → GitHub から 403 Forbidden
  • GitHub のエラーメッセージ:「Requests to this API must include a User-Agent header」。

    Cloudflare Pages Functions の fetchデフォルトで User-Agent ヘッダを付けない。 GitHub API は空 UA を「失礼な bot」と判定して 403 を返す。

    修正

    await fetch(githubUrl, {
    method: 'PUT',
    headers: {
    'Authorization': `Bearer ${token}`,
    'Content-Type': 'application/octet-stream',
    'User-Agent': 'frank-blog-uploader/1.0', // ← 追加
    },
    body: ...
    })

    たった 1 行で全 upload URL が復旧した。

    この幕から学んだこと

    Cloudflare Worker/Function から外部 API を叩くときは、必ず User-Agent を明示的に設定する。 Worker の fetch は UA を空にしてしまう。これは CF のドキュメントにも小さく書いてあるが、知らないと永遠にハマる。

    3 つの bug、1 つの共通項

    | バグ | プラットフォーム | デフォルト動作 | 結果 |
    |------|-----------------|---------------|------|
    | ENOENT | GitHub Actions | job 間で worktree を共有しない | デプロイ失敗 |
    | YAMLException | YAML parser | ネスト引用符を許さない | build 失敗 |
    | 403 Forbidden | GitHub API | 空 User-Agent を拒否 | upload 失敗 |

    3 つのバグ、3 つの根因。でも、プラットフォームは「あなたの全パイプラインを面倒見ます」とは言っていない

  • artifact の bridge は自分で

  • strip の bridge は自分で

  • UA ヘッダの bridge は自分で
  • 「デフォルトは不便なものだ」と決め打って設計する。 そうすれば最初から bridging を組み込める。

    私の 4 ステップ・デバッグ SOP

    この 1 週間で身についた習慣:

  • チェーンを分解する: ビルド → デプロイ → 配信 を最小単位に切り、個別に検証する

  • 「見えないデフォルト」をすべて晒す: UA、Content-Type、WorkingDirectory、artifact パス — 自分が当然だと思っていた値をログに書き出す

  • 期待値と実測を並べる: ローカル dev で動く ≠ CI で動く ≠ 本番で動く

  • 中間生成物を curl -v で見る: CF Worker の fetch ログを信じず、node から同じリクエストを投げて比べる
  • Indie hacker への 4 つの予防チェックリスト

  • CI デプロイは artifact で build output を受け渡す(worktree を信用しない)

  • YAML/JSON シリアライズは「strip してから wrap」(入力を盲目的に信用しない)

  • Worker/Function の fetch には必ず User-Agent を付ける(CF のデフォルトは空)

  • CI success ≠ デプロイ成功(gh run list だけじゃなく、CF Pages の latest_deployment.created_on か curl で実ページを確認する)
  • 締めの 1 文

    プラットフォームは契約の片務的パートナー。 礼儀正しいリクエスト(UA、明示的 artifact、strip 済みデータ)を送れば、確実に応えてくれる。 礼儀を欠いたリクエストを送れば、サイレントに拒まれる — もしくは、もっと悪い、サイレントに成功したフリをされる(これがいちばんたちが悪い)。

    ---

    教訓:1 つのサイトを直すより、3 サイトを直したあとのほうが強くなれる

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